Stanford CIS

Digital Hollywood conference

By Yuko Noguchi on

3月29日から31日にかけて、Digital Hollywoodというカンファレンスに出席してきました。ハリウッドのお膝元で開催されるだけあって、映画・音楽・放送などの関係者、技術サイドの関係者などが集まり、パネルで意見交換をすると共に、新しい技術やビジネスの話題で盛り上がるなど、なかなか楽しく、かつ勉強になるイベントです。 実は、昨年も出席したのですが、今年、印象的だったのは、音楽業界の人たちが、オンラインビジネス成功1周年、を大きく掲げていたことです。AppleのiTuneが米国で本格的に立ち上がったのが2003年4月、その後今までに5000万曲がダウンロードされたと報告されています。Appleに続き、Music MatchRhapsody、果ては大手の小売業者であるWalmartまでが、ダウンロードビジネスをする時代になりました。 そのお陰か、P2Pが原因で音楽業界がつぶれる、といった論調はすっかり影を潜め、今では、いかに、今後のデジタル時代に消費者が満足しつつ、大量の無断コピーを生じさせないビジネスモデルを実現するか、ということに議論が集中していました。 そういう中で、新しい論点として、今一番議論されていることのひとつが、技術の相互互換性(Interoperability)の問題です。たとえば、AppleのiTuneが用いている保護技術(DRM)と、Music Matchが用いているWindows mediaをベースとしたDRMには、互換性が無いため、Music Matchで購入した音楽は、そのままではiPodに入れてもプレイできません。もしも、家族が違うフォーマットのポータブル・プレイヤーを持っていたとしたら?もしも、パソコンやプレイヤーの機種を変えたら?今までの音楽は移しても聴けなくなってしまうのか? そこで、そうしたフォーマットの違いなどから来る「技術の壁」を取り除いてほしい、というコメントが、消費者サイドやコンテンツ・プロバイダーから頻繁になされていました。 しかし、これはそんなに簡単なことではないようです。どの技術会社も、自分達の技術を用いた製品が市場で優位に立つことを夢見て競争を繰り広げており、MicrosoftとAppleが自発的に相互の技術をライセンスし合い、両方のフォーマットを盛り込んだ製品を市場にリリースすることは考えがたい、と多くの人がコメントしていました。それでは、その問題をどう解決するのか?簡単な回答は見つからない、と。 技術の相互互換性を確保するためのフォーラムとして、Content Reference Forumが2003年12月に、提唱する技術スペックを開示して、パブリック・オピニオンを求めています。非常に重要な活動だと思いますが、現実にはその実現にはもっと長い時間が掛かるだろうと、同フォーラムの中心人物のAlbhy Galuten 氏は述べていました。