今日は、著作権の判例をひとつご紹介しましょう。論点は、「電子透かしは、本当に裁判所で証拠能力があるのか?」という点です。
2005年2月に、第10控訴裁判所で判決がひとつ出ています。
Palladium Music, Inc. v. EatSleepMusic, Inc., 398 F.3d 1193 (10th Cir., 2005)
この1195頁で、判決は次のように、さらっと書いていますが、つまりは電子透かしによるデータの同一性の確認は、証拠として十分だと認めていることが前提のように読めます。
“Employing embedded digital watermarks, Palladium was able to determine that the files ESM was distributing online were originally sold to TPC for its CD+G line of products.”
「埋め込んであった電子透かしを利用して、Palladium(原告)は、ESMがオンラインで配布していたファイルは、元はTPCに対して、CD+Gラインの商品に使われるために売られたデータであることが確認できた。」
実際には、この後、Discoveryが入って、訴訟に至っている様子です。実際には、どのような電子透かし関連の証拠を提出しているのかは、訴訟記録を見てみないと分からないですが、いずれにしても、証拠能力という点では、当然ながら、安心できる判例ですね。